どうしてるかなって思い出す
2004年 05月 29日
部下の一人が辞めた
これ 痛かった 心が
彼女は辞めたかったんじゃなく入院が必要になったのだ
診断書に書かれた病名
”自律神経失調症”
たいてい こういう書き方をされるが 彼女はリストカット常習者…
自分を切り刻むことが止まらなくなってしまう心の病
もう随分前から そのクセはあったようで
手首の傷を見つけた時は ギョッとした
みにうさの表情に彼女は
「あ これ?昔やっちゃったんですよぉ~(笑)」
その時 そう言って笑いとばしてた
確かに古い傷だった
今は大丈夫って そう言った彼女の言葉を信じた
夏の暑い日 彼女は長袖を着ていた
ずっと心の病のための薬を服用していたために
婦人科系に副作用が出て 更年期障害の症状があった
皆が寒くて震える北海道の冬 マイナス気温の時期も半袖でOKな人が長袖
”やったな・・・” 確信した
何気に聞いてみた どうして長袖なの?って わかってたのに聞いた
「見つかったら叱られると思って…」とオドオドしながら
見せられた両腕は 何本ものミミズ腫れが…
腕が傷で出来てるのかと思うくらい 目を覆うくらいの数…
あやうく責める言葉をぶつけそうになった
「どうしてこんなことするの!やめなさい!」
でも 必死の思いで飲み込んだ
「まったく 困った子だねぇ(笑)」
叱られなくて安心したのか ホッした表情で 「ごめんなさぁい」って。
それからしばらくは 傷も増えずにいて 落ち着いたのかなって思ってた
ちゃんと半袖を着るようになったし よしよしって…
彼女はネットで自殺者が集まるチャットをしていた
そこで知り合った友達と会うために東京に行くので連休が欲しいと言ってきた
会うことをダメと言う権利もない みにうさは 連休をあげた
連休前日
その友達は 車ごと海へダイブ
翌日の新聞に二人で心中と書かれていた…
会うはずだった友達と 海へ飛び込む寸前まで話しをしていた彼女
もう 普通じゃなくなっていた…
死んだ二人は心中なんかじゃない アイツが悪い!と泣き叫ぶ彼女
アイツが誰なのか どうして悪いのか
順序立てて話を聞くことは もう不可能だった
彼女のお母さんから電話がきた
「娘はしばらく休ませます できればやめさせたいんですが…」
え?なに?どういうことですか?
「入院させることにします もう私の手には 負えません」
お母さんは涙声だった
旦那さんとは 話をすることはできなかった
彼女からはメールがきた
「辞めたくない みにうささんの所で皆で一緒に楽しくしていたい」
なにがなにやら わからなかった 自分はどう動けばいい???
結局入院
1ヶ月して外出許可が出て 会社に顔を出してくれた
休憩室で皆に病院での生活を 笑い話のように話してくれた
個室の入口には鍵がかかってて 面会も簡単にはできないってこと
薬を飲まない人もいるからと 口をあけて飲んだかどうか確認させられること
煙草は吸ってもいいんだけど 喫煙所はライターではなく線香で火をつけることなど・・・
ひととおり話をして 皆を休憩室から出し 二人で話しをした
途端に泣き出し
「ごめんなさい ごめんなさい 叱られると思ったから
腕じゃなくて 太腿を切ってました…
迷惑ですよね いつ退院できるかわからないので このまま辞めさせてください」
うん わかったよ
そういうしか できなかった…
彼女が外出許可をとっている間に
みにうさと当時の部長は 彼女の入院する病院へ行き担当医に話を聞いた
会社が楽しい 仕事に戻ることを今一番張り合いにしていると・・・
力になってあげてくださいと
ただ 頑張れ とか 励ますようなそういう言葉は使わないようにと。
本人が こんなに頑張ってるのに まだ頑張れって言うなんて・・・と そう受け取るから使うなと…
悩んだ
本当に悩んだ
会社としては・・・受け入れる余裕はない
でも 一人の人間として 彼女を救いたいと思う気持ち 葛藤…
なんとかならないかと上司と話をしても
なんたってあの女上司
切り捨てる以外の言葉を 出してもらえなかった…
結局退院のメドもつかず 季節が変わる頃 彼女の旦那さんが退職の手続に来た
みにうさは なんにもできなかった
無力だと くやしくてくやしくて・・・ただただ情けなかった
でも この病気は
自分しか 戦えない病気
外野がなんと言おうと 自分の心との戦いになるのだ
難しい病気
自分一人で戦うことは苦しいだろう
でも
そばにいる人間だって苦しい
なんにもしてやれないもどかしさと戦うのだから
苦しくてしかたがない
そういう気持ちを 受け止めてもらえたら
強くなって 少しでも前を向いて歩けないだろうか
あなたを必要としてる人がいるんだよ
そばにいるよ
一人じゃないよ
今でも彼女とはメールをいつでも受け取れるように
アドレスを変えても連絡をとっている
彼女もアドレス変更のメールをちゃんとくれる
体調のよしあしによって返事はこない
でも 返事は待たない
待っちゃいけない
ちゃんとここにいるよって
みにうさは信号を送っている
彼女もそれをわかってくれている
そう信じたい
また一緒に カラオケしよーね
約束したよね
絶対 約束忘れないでね…