ある雨の日

いつものように残業で、
いつものように疲れた顔した仕事帰り、
電車を降りると雨が降っていた。
小走りに駐輪場へ向かいカギを取り出す。
左を向いてるハンドルを右に向けたその時
なんということでしょう…
左側に並んでいた自転車がドミノのように規則正しく倒れていく

それを止めることもできないまま
私はただ倒れていく自転車たちを見ていた。

ひとしきり倒れきったのを確認してため息ひとつ吐き出し、
すぐ横に倒れた自転車に手をかける。

雨が降る中
傘もなく

なんともいえない惨めさを漂わせながら直していく

なんで今日なの?
いつもは倒れないのになんで?
なんで雨なの?

やり場のない憤りを
でも誰にぶつけるわけにもいかずに一台立て直し
二台目に手をかけようとした時
横から手が伸びてきた。

とっさに持ち主と判断し

「すいません」と謝罪する。

「いいえ、大丈夫ですよ」

淡々と答えたその人は
手際よく次々と横倒しの自転車たちを行儀よく並べていく。

「すいません」

同じ単語しか発せられない自分が情けなく
結局一台だけ立たせただけで
あとは全部その人がやってくれた。

「すいません。ありがとうございます」

「いいえ、大丈夫ですよ」

そう言ってその人は
すべて並べて去って行った…




…って、あれ?

自分のが犠牲になったわけじゃなく
ただ手伝ってくれた?

そのことに彼が去ったあとに気がついた。

なんて優しい人なんだろう…


こんなさりげない優しさってヤバい。
惚れてまうやろ~

翌日会社でこの話をしてみた。

ある人が言った。

「お駄賃あげたかい?」


…台無し(´・ω・`)
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Commented by panchan1121 at 2009-05-16 13:48
いい話ですね。 でも普通のことなのかもしれないって思います。
自然にできるようになりたいと自分も思いました。
Commented by miniusagi52 at 2009-05-31 21:41
☆panchanさん、結構感激したんですよ。
 いまどきの若い子は…なんてひとくくりにできないなって。
 疲れた状態だっただけに、ホントに感激しました。

 普通のことが普通にできなくなっているのかなって、
 嫌味やおしつけじゃなく、自然にできるって案外難しいかも。
by miniusagi52 | 2009-05-16 10:28 | ひとりごと | Comments(2)

きてくれてありがとう


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